デジタルカメラ自由研究

プリンタ出力を検証する その2

前回の検証で一般的に言われるプリンタ解像度である 360 dpi より低い解像度でも
画質面において悪くない結果が得られる事が判りました。
今回は、それをさらに突き詰めた検証をしてみたいと考えています。

出力解像度の根拠

プリンタに添付されていたマニュアルに記されている内容を転載させていただきます。

画像データは1 ドットでどんな色でも表現できるのに対し、
プリンタの印刷画像は 1 ドットで通常4 色(C/M/Y/BK)のうち 1 色しか表現できません。
つまり、プリンタの印刷画像は複数ドットの集まりで画像データ1 ドット分の色を表現しています。
そのため、例えば 2880dpi のプリンタできれいな印刷をするときでも、
画像データは 2880dpi より低いもので十分なのです。
また、画像データの解像度を上げれば印刷画質も向上しますが、
解像度を上げすぎても印刷速度が遅くなるだけで大きな画質向上は望めません。
以下の表を参考にして、本製品の出力解像度に適した画像データをご用意ください。

(出典:エプソン PX-G5100 電子マニュアル)

ここで注目すべき点は2行目に書かれている「4色のうち1色」と言う部分です。
プリンタが吹き付けるインク粒4つで、1画素分の色を表現している事になります。
またプリンタヘッドが動く方向への解像度とペーパーフィードされる方向の
解像度が異なります。(一般にペーパーフィード方向へはプリンタヘッドの半分程度)
故に最大でもプリンタの出力解像度が 2880dpi と謳われていても、
実際にはペーパーフィード方向の副走査解像度が 1440dpi となり、
さらに先に記した色の出来方から、副走査解像度の4分の1になる 360dpi で良い。
以上がインクジェットプリンタにおける出力解像度の根拠になります。

だとすると、最近のプリンタは性能が上がっていますから、
今まで慣習的に使ってきたプリンタ出力解像度=360dpi を見直す必要があるかもしれません。

実際の出力結果を比較する

今回比較するプリント出力の基礎データは以下の通りです。

カメラ:EOS 10D
撮影した RAW データを DPP で Tiff ファイルに現像
プリンタ:キヤノン BJ F9000
ペーパー:キヤノン プロフェッショナルフォトペーパー 2L サイズ
色補正:Photoshop 側でプリンタ添付のプロファイルを指定し、プリンタ側は補正無し
スキャナ:キヤノン CanoScan 9900 F

同一の画像データから、一方の出力解像度を 180 ppi に、もう一方を 360 ppi に指定してプリントアウトしています。

出力解像度が異なるため、プリントされている範囲が違っています。
解像度の低い画像(180 ppi)では見かけ上大きく、解像度の高い画像(360 ppi)では見かけ上小さくプリントされています。

※画像をクリックするとスキャニングしたオリジナルサイズの画像データを見る事が出来ます(約 1.3 MB)

ピクセル等倍で表示して同じ面積を切り取った画像で比較してみましょう。

 

向かって左側が出力解像度 180 ppi のプリント、右側が出力解像度 360 ppi のプリントです。

ここで注目すべき点は2点です。
緑色のカップ付近の粒状感とタバコの箱に印刷されている文字等の可読性です。
この2点に注目した場合、プリンタから吐出されるインク粒は同じですから、
プリントされた状態での粒状感に違いが無い事。
解像度の低い方が、見かけ上大きく出力されているため文字の可読性が低くなっている事。

しかし出力された実際のプリントを見ると確実に差が認められるものの、これほどの差は認められません。
これはプリントを観る距離に起因するものだと考えられます。
上で示した画像くらいの大きさで実際のプリントを観ようとすると、その鑑賞距離は約4センチほど。
実際に全体を観る場合だと最低でも20センチは離れているでしょう。
その肉眼でこれほどの精査が出来るかと言うと少し疑問に思います。

今回のまとめ

写真品質のプリントペーパーを用いた結果、やはり出力解像度は必要に応じて高く設定する必要があると言えます。
今回テストをしていませんが、印刷用紙の品質が出力する内容に見合わない場合(写真を普通紙出力する等)は
必要以上に解像度を高く設定する必要は無いようです。

また今回使用したサンプル画像では、画像のシャープネスを最低にしたまま出力しています。
仮にこれに対してシャープネスを適用した場合、どのように変化するのか試してみたいと思います。

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